令和5年度の年金額は、法律に基づき 4月分(6月15日支給分)から改定されます
67歳以下(昭和31年4月2日以降に生まれた方)は原則2.2%、68歳以上(昭和31年4月1日以前に生まれた方)は原則1.9%引き上げとなります
◆令和5年度の年金はどれくらい増える!?
厚生労働省の試算によると、令和5年度の年金額の例(67歳以下の場合)
・国民年金(老齢基礎年金:満額)月額66,250円(前年度から+1,434円)※68歳以上の老齢基礎年金:満額 月額66,050円(前年度から+1,234円)
・厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) 月額224,482円(前年度から+4,889円)※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
◆年金額改定のルール
年金額は、どのように改定されるのでしょうか。年金額は67歳までと、68歳以降では計算方法が異なります。現役を引退してから間もない67歳以前の受給権者は「新規裁定者」と呼ばれ、「名目手取り賃金変動率」を基準に年金額が計算されます。一方、68歳以後の受給権者は「既裁定者」と呼ばれ、「物価変動率」を基準に年金額が計算されます
令和5年度の年金額の計算に使われる「名目手取り賃金変動率」は2.8%、「物価変動率」は2.5%と決定されました
そして年金額改定には、「マクロ経済スライド」という仕組みによる調整も行われます
「マクロ経済スライド」とは、将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです
このマクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると年金額が下がってしまう場合には、年金額の改定は行われません
また、賃金や物価の伸びがマイナスの場合は調整を行わず、賃金や物価の下落分のみ年金額を下げることになります マクロ経済スライド|日本年金機構
マクロ経済スライドによる令和5年度の調整率は、公的年金被保険者総数の変動率(令和元~3年度の平均)と平均余命の伸び率(定率0.997)で計算され、▲0.3%となりました
マクロ経済スライドは、名目手取り賃金変動率や物価上昇率が下落しているときは、前述のとおり、年金額の水準を維持するために適用されないですが、その適用されなかった未調整分は、次年度以降に繰り越されることになっています。令和3年度と令和4年度は、マクロ経済スライドによって調整できなかった未調整分が2年間の合計で▲0.3%でした
結果として、令和5年度の年金額は、
・新規裁定者(67歳以下の方)は 「名目手取り賃金変動率」‐「令和5年度調整率」‐「令和3・4年度の未調整分の調整率」→ 2.8%‐0.3%‐0.3% で令和4年度から2.2%の引き上げ
・既裁定者は(68歳以上の方)は 「物価変動率」‐「令和5年度調整率」‐「令和3・4年度の未調整分の調整率」→ 2.5%‐0.3%‐0.3% で令和4年度から1.9%の引き上げ
となります。