◆ハラスメントとは、相手に精神的・身体的苦痛を与える行為のことで、相手の人間としての尊厳を傷つけたり、脅したりすることです。
職場でハラスメントを受けた従業員は、メンタルヘルスに大きな影響を受ける可能性があります。
また会社も安全配慮義務を怠ったとして、損害賠償責任を負う事にもなりかねません。
たとえ、「そんなつもりがなくても」「相手を思っての指導のつもり」であったとしても、相手が不快な思いをすれば、それは「ハラスメント」に該当します。
大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から「パワハラ防止法」が適用され、厚生労働省は次の6種類に「パワハラ」を分類しています。
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求
(5)過小な要求
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
◆パワーハラスメントを予防するには
① 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
「ハラスメントは絶対行ってはならない」というトップからの強いメッセージの発信は、従業員に精神的な安心感を与えます。まずは、企業のトップから意識を変えていきましょう。
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談窓口の設置及び対応方法を従業員に周知し、従業員が相談しやすいように、「秘密は守られること」「不利益な取り扱いは受けないこと」などを明確にしておきましょう。また、相談内容に応じて、外部相談機関にも連携し、いつでも相談できる体制を整えましょう。
③ 職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
ハラスメントが発生したら、事実関係を迅速・正確・中立な立場での初期対応が不可欠です。被害者は、被害申告を躊躇する傾向にあります。被害者と行為者に対する措置を速やかに適正に行いましょう。この時、再発防止のための措置も講じます。
その他、企業はできることから実践し、従業員の反応や浸透度合いを見ながら、自社独自の実践しやすいハラスメント対策を行っていきましょう。
◆ハラスメント被害にあったときは
① どんなことをされたのか記録する
ハラスメントと思われる行為をされた場合は、いつどこで誰が何を何のために(5w1h)したのかを記録しましょう。後々の事実確認などで有効なので、メモや録音など最適な方法で記録を残すことをお勧めします。
② 周囲に相談する
ハラスメントは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートする可能性があります。一人で悩まず、まず同僚や上司に相談しましょう。周りの協力を得ることで、ハラスメントを行う本人が自らの行為に気づく場合があります。
③ 会社の窓口や人事担当者に相談する
上司に相談できない場合は、人事部や社内相談窓口に相談しましょう。会社等の組織は、相談者が不利益にならないよう、プライバシーの確保を配慮することを求められています。
④ 外部の相談窓口に相談する
社内に相談窓口がない場合や、社内では解決できない場合は、外部の相談窓口に相談しましょう。全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で相談を受け付けており、電話でも相談できます。