前回は老齢厚生年金に支給される「加給年金」についてお話いたしましたが、今回は「振替加算」についてです。老齢厚生年金や退職共済年金等の加給年金額の対象となっていた妻(夫)が65歳になると、夫(妻)が受け取っていた加給年金額はなくなり、妻(夫)の老齢基礎年金に生年月日に応じた金額が加算されます。これを「振替加算」といいます。ただし、振替加算を受給するには一定の要件があります。
◆振替加算の対象者
振替加算の対象となる妻(夫)は、配偶者の加給年金の対象となっていた方のうち、次の条件を満たす方です。
1.大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること
2.老齢厚生年金や退職共済年金の受給している場合(支給停止である場合も含む)、加入期間が併せて240月未満であること
3.厚生年金保険の40歳(女性および坑内員・船員は35歳)以降の加入期間が、次の表未満であること
生年月日
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加入期間
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昭和22年4月1日以前
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180月(15年)
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昭和22年4月2日
~昭和23年4月1日
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192月 (16年)
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昭和23年4月2日
~昭和24年4月1日
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204月(17年)
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昭和24年4月2日
~昭和25年4月1日
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216月(18年)
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昭和25年4月2日
~昭和26年4月1日
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228月(19年)
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夫(妻)加給年金受給から妻(夫)への振替加算の流れは次のようになります。振替加算対象の妻(夫)の方が加給年金を受給できる夫(妻)より年上の場合は、加給年金は支給されることなく、本来加給年金を受給できる年齢(65歳)から直接振替加算対象者に振替加算額を支給されることになります
◆振替加算額はいくら!?
振替加算の額は、加給年金のような一定の金額ではなく、以下の表のように、年齢が若くなるごとに減額していき、昭和61年4月1日に20歳未満(昭和41年4月2日以後生まれ)の方はゼロとなるように決められています。
生年月日
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加算額(円)
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大正15年4月2日~昭和2年4月1日
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228,100
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昭和2年4月2日~昭和3年4月1日
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221,941
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昭和3年4月2日~昭和4年4月1日
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216,011
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昭和4年4月2日~昭和5年4月1日
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209,852
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昭和5年4月2日~昭和6年4月1日
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203,693
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昭和6年4月2日~昭和7年4月1日
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197,763
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昭和7年4月2日~昭和8年4月1日
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191,604
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昭和8年4月2日~昭和9年4月1日
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185,445
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昭和9年4月2日~昭和10年4月1日
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179,515
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昭和10年4月2日~昭和11年4月1日
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173,356
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昭和11年4月2日~昭和12年4月1日
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167,197
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昭和12年4月2日~昭和13年4月1日
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161,267
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昭和13年4月2日~昭和14年4月1日
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155,108
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昭和14年4月2日~昭和15年4月1日
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148,949
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昭和15年4月2日~昭和16年4月1日
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143,019
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昭和16年4月2日~昭和17年4月1日
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136,860
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昭和17年4月2日~昭和18年4月1日
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130,701
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昭和18年4月2日~昭和19年4月1日
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124,771
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昭和19年4月2日~昭和20年4月1日
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118,612
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昭和20年4月2日~昭和21年4月1日
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112,453
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昭和21年4月2日~昭和22年4月1日
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106,523
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昭和22年4月2日~昭和23年4月1日
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100,364
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昭和23年4月2日~昭和24年4月1日
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94,205
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昭和24年4月2日~昭和25年4月1日
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88,275
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昭和25年4月2日~昭和26年4月1日
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82,116
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昭和26年4月2日~昭和27年4月1日
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75,957
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昭和27年4月2日~昭和28年4月1日
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70,027
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昭和28年4月2日~昭和29年4月1日
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63,868
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昭和29年4月2日~昭和30年4月1日
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57,709
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昭和30年4月2日~昭和31年4月1日
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51,779
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昭和31年4月2日~昭和32年4月1日
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45,740
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昭和32年4月2日~昭和33年4月1日
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39,565
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昭和33年4月2日~昭和34年4月1日
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33,619
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昭和34年4月2日~昭和35年4月1日
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27,444
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昭和35年4月2日~昭和36年4月1日
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21,269
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昭和36年4月2日~昭和37年4月1日
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15,323
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昭和37年4月2日~昭和38年4月1日
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15,323
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昭和38年4月2日~昭和39年4月1日
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15,323
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昭和39年4月2日~昭和40年4月1日
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15,323
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昭和40年4月2日~昭和41年4月1日
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15,323
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令和5年度金額
◆振替加算どうしたら受給できる!?
前回の加給年金受給方法と同様に、受給資格を満たした方を対象にして、年金の支給開始年齢になる約3か月前に、日本年金機構から、あらかじめ氏名や住所、年金加入記録が印字された年金請求書などの書類が事前に送付されます。それに必要事項を記入、必要添付書類を提出することにより、ご自身の年金請求と同時に振替加算の申請もできるようになっています。ただし、振替加算対象者の年上の妻(夫)が先に老齢基礎年金(65歳以上に限る)を受給していて、あとから厚生年金加入期間20年以上の夫(妻)が65歳になって老齢厚生年金受給する場合は、通常の手続きをしたうえで、別途届け出が必要です。
特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き